大友由紀のまごころトーク⑨『親に聞いておきたいこと』|まごころのお葬式は大友葬儀社
聞けなくなる日が来る前に…
こんにちは、㈲大友葬儀社 専務の大友由紀です。
「親孝行したいときに親はなし」ということわざがあります。いつまでも元気でいてくれると思っていたのに、暫く会わないうちに何だか最近親が年老いたと感じることはありませんか?
やはり親が元気でいてくれるうちに、色々なことを聞いておきましょう。
聞きたいことは本人の意思がはっきりしているうちです。聞きたくても間に合わなかった例を私は何度も見ています。
私は残念ながら、既に両親が他界してしまいましたので、今両親が生きていれば、あれもこれもと聞きたいことが沢山あります。
今回は、元気なうちに親に聞いておきたいことをお話いたします。
まず、親の歴史についてです。
小さい頃の思い出話をいくつか聞いてみてください。わんぱくだったのか、物静かだったのか、どんな子供で、どんな遊びが好きだったのでしょうか。
そして、戦争を体験していたのならば、その時代のことをよく聞いておきましょう。戦争体験を受け継いで、孫へと伝えてください。
そして、親の両親や兄弟姉妹・従兄弟についての親戚関係や付き合いを確認しておきましょう。名前は分かっていても漢字でどう書くのか分からないことが多いのです。
特に、叔父さん・叔母さんの配偶者の名前が分からない方がよくいらっしゃいます。
ましてや、従兄弟になると幼い頃に遊んだだけなので、なおさら漢字で名前を書けません。
お葬式の際に、お供え物の名札に書く名前をお聞きしますと、名前の漢字が分からない方が多いです。家系図を親と一緒に作るのもおすすめです。
若い頃にどんな友達と青春時代を過ごしたのかを聞いてみましょう。
例えば、野球に夢中だったとか、夏は海に行って真っ黒に日焼けをしていたとか、モテたかったのでビートルズのコピーをしてギターに夢中だったなど、具体的に話をしてもらいましょう。
アルバムを開いて、その写真に写っているエピソードをメモに残しておくのもいいでしょう。
また、親が大切にしている『物』について尋ねてみましょう。
切手を収集するようになったきっかけや油絵を描くようになって、どこへスケッチ旅行に行ったのかなど興味をもって聞いてみましょう。
きっと、お好きなことは嬉しそうに語って下さると思います。
親の仕事について聞いてみましょう。
親がどこの何という会社に働いていたのかは、ある程度分かるかと思いますが、奥様でさえご主人の仕事内容について聞いている方は少ないものです。
どんな場所で働いていたのか、仕事の様子などを聞いてみると話して下さると思います。
親の健康について関心を持ちましょう。もしもの時に備えて、かかりつけの病院を確認して、その病歴や飲んでいる薬についても聞いておきましょう。
そして、大体の『血圧の数値』を知っておくことが大事です。
急にお家で倒れて救急車を呼んだ時に一番先に聞かれる事柄です。
かかりつけの病院があれば、まずその病院に搬送できるのかを救急隊員は電話をしてくれます。
搬送先の病院が決まらないと救急車はいつまでも出発することが出来ないのです。
常日頃かかっている病院の診察券がどこにあるのかを確認しておいてください。
もし、入院することになった場合もどなたにそのことをお知らせしたらいいのか人間関係も気にかけておいてください。
最近、親の交友関係が分からないが為に急逝した方の携帯電話から死亡通知を一斉メールしたことがありました。
また、病院から退院した場合も暮らしやすくするように、躓きやすい家の段差をなくす、トイレや廊下に手すりをつけるなど安心安全に暮らすためのリフォームについてもよく相談しておきましょう。
岩沼市から補助金制度もあるそうです。
もし、介護が必要になった時には、どこで・誰に・どのように介護して欲しいかを聞いておきましょう。
大体の男性は自宅で奥様に介護して欲しいと望んでいるようです。一方で女性は、子供や旦那様に迷惑をかけるので、お金が許せば介護施設や病院でお世話をして欲しいと望んでいる方が多いようです。
費用がどのくらい掛かるのかをよく調べて、年金でまかなえる範囲の介護サービスを調べておきましょう。
それには、まず親がいくら年金を受給しているのかを聞いておくことです。
それよりも何よりも、出来るだけ介護のお世話にならないように、減塩に気を配ることや、軽度の運動をして身体の機能を維持するなど、一緒に『予防』することが、一番大事だと思います。
中々親世代は自分から話すことを得意としません。
ですので、こちらの子供の方から根掘り葉掘り上手に親の事を聞き出してみて下さい。
子供が自分に興味があることは嬉しいものです。
元気なうちに、認知症にならないうちに、親の意思を聞ける時間があるうちに、親と話をしておくことが大切です。
続けて、親のお金について聞いておきましょう。
お金ってとてもデリケートな問題です。ですが、何も準備をしないまま突然親が亡くなってしまった場合に遺族はとても大変な思いをします。
よくあるのが、遺産相続です。財産があるなしに関わらず、親が生きているうちはあまり話したがらないと思います。
しかし、例えば、今分けることが出来ない現在住んでいるこの家を将来どのように、誰に相続させたならば一番いいのかを親だけではなく、兄弟姉妹達も入れて一緒に話し合っておくことが大切です。
お墓を守ってくれる人にこの家を相続させたい、田んぼや畑はどうするのか、株や証券の取り扱いはどうするかなど、遺産の棚卸をしてみることから始めます。
意外に財産が残っていたり、反対に負の財産である借金が見つかったりする場合もあります。
親子で、折に触れて話し合いの機会を設けることは大事なことです。
また、保険金も誰にいくら支払われるのかを把握しておく事も必要です。いざという時に保険証券が見つからないこともあるからです。
お金の預け先も確認しておきましょう。
これも、本人が亡くなってしまいますと遺産分割協議書を相続人が作成しない限り、銀行預金が全て凍結してしまう為です。
実印や銀行印の管理についてもきちんと確認しておくことが必要です。
また、今の時代はインターネットバンキングなどネット上の遺産も調べておく必要があります。
パスワードが分からなければ、何も始まらないからです。ひとつだけではない場合もありますので、よく確認しておきましょう。
生きているうちに、贈与として親の財産を受け取ることもできます。相続税の軽減にもなりますので、様々な方法があるそうです。
手続きに時間が掛かることも多いので、今の内からよく調べておく必要があります。親の意思である『遺言書』を書いてもらうことも一つの手段です。
後々、兄弟姉妹で骨肉の争いが起こらない為に、遺言書を用意しておくことは有効な方法です。
相続人数が多い方や行方不明の兄弟姉妹がいる方、家業を継いでくれる子供が決まっている場合など、後から揉める事がないように、親に遺言書を書いてもらうと良いそうです。
遺言書には、『自筆遺言書』と『公正証書遺言』があります。
自筆遺言書は、気軽にどこでも書けて費用は掛かりません。
遺言、日付、氏名を記入した上に印鑑を押せばいつでも作成できます。
また、気が変わればいつでも書き直すことが出来ますが、形式に一つでも不備があると無効になります。
しかし、紛失や偽造や隠されたりする恐れもあります。そして、自筆遺言書を開封する場合は、家庭裁判所での検認手続きが必要になります。
一方、公正証書遺言は、公文書として強力な効力をもちます。公証役場で、二人以上の証人の前で遺言内容を公証人に申し述べ、公証人が遺言書を作成します。
家庭裁判所での検認手続きは不要です。亡くなってすぐ遺言の内容を実行することが出来ます。
原本も公証役場に保管される為に紛失や改ざんなどの心配がありません。
財産の金額に応じてお金は掛かりますが、公正証書遺言が最も安全かつ確実な方法であると専門家に教えて頂きました。
親が亡くなった後で兄弟姉妹と遺産の事で、揉めない様に早いうちから親の財産がいくらあるのかをまとめて、それをどのようにして相続していったらよいのかを生前からよく親と兄弟姉妹と協議しておくことが必要です。
それぞれの事情が絡み合う話ですので難しいことになりそうな時は、始めから専門家を間に入れることで、上手く遺産相続の分配の話が運ぶそうです。
また、日頃から親や兄弟姉妹と連絡を取り合って、仲良くしている親・兄弟姉妹は、遺産相続で争うことは少ないようです。
お通夜で、男兄弟三人が大光殿にお泊りになり、故人様との最期の晩に「お酒を酌み交わしながら、遺産分割の協議をしたよ」と喪主様に教えて頂いた事がありました。
このように仲の良い兄弟姉妹は、羨ましいですよね。日頃からお互いを思いやる気持ちを持って仲良く暮らしていく事が大切だと教えて頂きました。
最後に終末期についてです。
終末期のお話は「親に中々聞きにくい」そうですよね。ですが、病気にかかり余命僅かとなった時には、もう聞けないのです。
ですので、お元気なうちに聞いておくことが重要なのです。
自分の命に関わるような病気になった時に、詳しい病名や余命を詳しく知りたいか、出来れば聞きたくない、教えないでくれなど親の希望を聞いておくことです。
ですが、最近は病気のことを聞きたくなくてもお医者様から告知を受けることもあるそうです。
お医者様は病気を治すことがお仕事です。例えば、僅かな確率でも治る方法がある時には、「一緒に病気に立ち向かいましょう」と励ましてくださいます。
本人に病気について治療方法の説明を、本人が病気に立ち向かうことが出来ないそうです。
もしもの時に、生命を存続させるための人工呼吸器を付けるかどうか、食事が喉を通らなくなった時に遺漏にして欲しいなど、病気が重篤になった時の判断を本人に聞いておくことです。
例えば、危篤になり生命を存続させるための人工呼吸器を付けても、病状が良くなれば人工呼吸器を外すことも出来るのです。
うちの亡くなった九十五歳の曾おばあさんは、介護ベッドの上で寝たきりではありましたが、頭がはっきりしていました。
ある日突然黄疸の症状が現れて、手術しなければ余命は一週間とお医者様から宣告を受けました。私達家族も「もう九十五歳だし、手術で全身麻酔をして痛い思いをさせるのはどうだろう…」と悩んでいたのですが、九十五歳の曾おばあさん本人がはっきりと「手術をして欲しい」とお医者様にお願いしました。
このように本人の意思がとても大切です。例えば「治療して助かるのならば、色々な処置をしてください」「もし、もう助からないのであれば、延命処置はしないでください」と意思を書いて日付と本人のサインを書いておいてもらえれば、お医者様に延命処置について本人の意思をきちんと伝えることが出来ます。
また、お葬式はどのように希望するのかも親に聞いておきましょう。
質素に、普通に、豪華になど、どなたにどの範囲までお知らせをしたらいいのかを聞いておきましょう。
また、お葬式に掛かる費用も用意しておるのか、それとも遺された家族に全て任せるのかもよく聞いておきましょう。
その他にも、お葬式の祭壇装飾には生前好きだった「ユリの花を飾って欲しい」「国から頂いた褒章を飾って欲しい」「趣味で作った作品を並べて欲しい」など、具体的なお話を聞いておいてください。
実際に大光殿会員様から「好きだった音楽を会場にBGMとして流して欲しい」と既にお預かりしているCDがあります。
親が初代でしたなら、最後に眠るお墓はどうするかも決めておきましょう。いざという時には、中々きめられないものです。
生前から、どこにどんなお墓を建てるのかを相談しておきましょう。
求めたくても「お墓がない」という声もありますので、元気なうちに喪主となりお墓を守っていく方と一緒に決めておきましょう。
用意の良い方は、自分のお墓を生前から建てておかれる方もいます。『寿陵』と言って、縁起が良く長生きするとも言われています。
今回は、元気なうちに親に聞いておきたいことのお話をさせて頂きました。
明日という日はどこにも保障されていないのです。
最近もお元気だった八十五歳の方が、余病もなく突然お亡くなりになりました。
ご家族は、もうどうしたらいいのか分からず途方に暮れていました。
私は幾度となく同じ場面に立ち会っています。
お元気なうちから、色々なことをお話しておくと「親はこうして欲しいのかな」という判断が出来ます。
聞きたい事は、本人の意思がしっかりしているうちに、こちらから話を振って聞いてみてください。
中々話がしたくてもきっかけがないという方に秘策があります。「私の友人がこんな風に分からなくて困った」という話をしてみてください。
「お父さんだったらどう思う?」「お母さんならどうする?」など聞きたいことを具体的に聞き出すことです。
どうぞ参考にして頂ければ、幸いです。
大友由紀
【大友由紀のまごころトーク】
これまでのまごころトーク一覧は下記よりご覧いただけます。
▶㈲大友葬儀社HPより:大友由紀のまごころトーク
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